冨岡 圭佑

生年月日
1995年1月29日
出身地
滋賀県長浜市
出身校
長浜北星高校
所属
理工学研究科 電子情報学専攻
趣味
麻雀 ポケモン

研究テーマ

「無線電力伝送を用いたTFT人工網膜の生体刺激」

 人工網膜とは、失明した患者の網膜に設置して光覚を取り戻す電子デバイスです。人工網膜には、設置する網膜の場所によって三種類に分類されます。網膜の上に設置する「網膜上刺激型」、網膜の下に設置する「網膜下刺激型」、強膜内に設置する「脈絡膜上系網膜刺激型」です。その中でも、TFTの特徴を活かすことができる網膜上刺激型の人工網膜を目指しています。従来の網膜上刺激型の人工網膜は、手術が容易で電極アレイの厚み等の制約が少ないといった利点の反面、眼球内に入ってくる光の進行方向と電極が向き合っていないためにビデオカメラのような対外撮像素子が必要になるといった問題がありました。しかし、TFTを用いると透明な基板で人工網膜を作製することができます。透明な基板に作製することで基板の裏側からでも電極に光を集めることができます。これにより、対外撮像素子が不要になり、従来の問題を解決した網膜上刺激型の人工網膜の実現を目指しています。
 人工網膜を患者の網膜内に設置した場合、電力の供給が問題になります。有線で外部電源に繋いで電力を供給する場合、体内から配線を出さなければなりません。また、外部電源を持ち運ぶことになるので患者の負担が大きくなります。電池式にした場合電池が切れる度に手術を繰り返すことになり、こちらも患者の負担が大きくなります。この電力供給の問題を解決するために、無線電力伝送によって電力の供給を行います。眼鏡に送信コイルを取り付けて、人工網膜に受信コイルを備え付けます。2つのコイルの磁界共振により電力供給を行います。
 現在、眼鏡から網膜までの距離を想定した5㎝で無線電力伝送を行い、電力の供給を確認することができました。さらに、生体を模した液体であるリン酸緩衝生理食塩水の中に人工網膜を浸し、その状態で無線で電力を供給し人工網膜を駆動させることに成功しました。これは、眼球内にも電力を供給できることと、LTPS-TFTに生体を刺激する能力があることを示しています。
 課題としては、無線電力伝送に用いている周波数が180MHzという高周波であることが挙げられます。高周波だと生体に悪影響を及ぼす可能性があります。また、高周波での伝送は安定しません。今後は送信周波数を低周波化できるように研究を進めていきます。

主な著書・論文

ありません

趣味・嗜好・モットーなど

実は身体を動かすことが好きです